2016年11月12日土曜日

『ヒューマン・ファクター』

主人公のカースルはイギリスMI6に勤めるスパイで,赴任していた南アフリカ共和国から黒人の妻サラとその息子サムを伴って帰国していた.情報漏れがあって,同僚のデイヴィスが二重スパイとして処分されたが,実は...というお話.読んだのは宇野利泰訳のグレアム・グリーン全集第25巻.

良いところ:
  1. 雰囲気
  2. 母親の描写
残念:
  1. (残念とまではいかないが) 色々なことが,最後までは書かれない
  2. (同じく) 南アフリカでのことがスリリングそうなのだが,あまり書かれていない

映画のジェームス・ボンドのようなスパイらしい(?)活動は出てこない.二重スパイの重苦しさが特に何でというわけではないのだが,伝わってくる.サラとサムがどうなったのかとか,シンシアがどうなったのか,とか気になる.

残念は,例によって無理矢理.書いてしまうと,おそらく雰囲気が台無しになる.

1983/4/15
グレアム・グリーン (宇野利泰訳)

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