2016年12月17日土曜日

『納得のいく死に方 医者との付き合い方』 (週刊東洋経済2016.9.24)

冒頭の「死と向き合う人々」に始まり,Ⅰ章 「納得のいく死に方」,Ⅱ章 「医師・薬と正しく付き合う」からなる.在宅死,延命治療・終末期医療,過剰診断,多剤投与,残薬,「終の住処」選び,(崩壊に瀕する)医療制度,といったことが記載されている.

良いところ:
  1. 死についての書きづらいであろうことが書かれている
  2. 高齢者偏重ともとれる医療の現状が書かれている
残念:
  1. 海外先進国の実情,取組が参考になると思われるが,取り扱いがとても少ない
  2. 過剰受診や膨らむ医療費に対する対処法の提言が少ない(ように感じた)
救命救急センターで激増する高齢者とか,高齢者に「がん検診」は必要かとか,「長生き」志向は間違っているとか,大変考えさせられる.「新たな透析患者は75~80歳が最も多い」等の事実には驚く.結局,GDPの10%超を費やして,高齢化社会にまい進しているということか.

上野千鶴子氏のインタビューの最後,「介護保険制度は絶対に後退させてはいけません」「自分たちの老後を危うくする政権を選択すると,自分の首を自分で締めることになりますよ」は,あまりにも老人視点のエゴではないか.誰がその費用を負担しているかとか,制度が持続可能かといった観点がまったく欠けている.


週刊東洋経済 2016年9月24日
2016/9/17




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