2016年11月27日日曜日

『燃える男』

主人公のクリーシィは生きる目的を失っていた元傭兵.ある実業家の娘ピンタのボディガードとして雇われ,彼女と心が通い合うようになった.が,そのピンタが誘拐され殺されてしまう.クリーシィは復讐を誓い,身体を鍛え直し,... というお話.A. J. クィネル著,大熊栄訳の単行本版.

良いところ:

  1. クリーシィやグィドー,ピンタと言った登場人物をしっかりと描写している
  2. 比較的シンプルなストーリー
残念:
  1. (良い話なのに) カバーの絵が何とも古い
  2. 復讐が淡々と進み過ぎる嫌いあり

原著は1980年.二度,映画化されている.人物がよく描き込まれていると思う.ピンタやナディア,ローラに会ってみたくなる.良くも悪くも演出が控えめ.復讐の実行に入っても,ピンチらしいピンチも特になく,どんでん返しもない.誘拐は実は...ぐらいのひねりはあるが,概ね展開の読めるストーリー.でも,面白い.

カバーの絵でずいぶん損をしているように思う.

1982/8/25
A. J. クィネル (大熊栄訳)

2016年11月20日日曜日

低温肉じゃが

『強火をやめると』本では取り上げられていない.おそらくこんな風にやるのかな的に試してみた.味付けはすき焼きの割り下をヒントに,かなり薄めで.

材料
ジャガイモ,玉ねぎ,ニンジン,マロニー,すき焼き用(薄切り)の肉

調味料・香辛料
うすくち醤油,味醂,砂糖,液体出汁

作り方
  1. 大体同じ時間で煮えるよう,ジャガイモは気持ち大き目,ニンジンは小さめ,玉ねぎは少し大きめに切る.
  2. 醤油,味醂,液体出汁,砂糖で割り下を作る.目安は重さで1:1:1:0.5ぐらい
  3. 冷えたままの鍋に野菜を入れて,野菜が浸る程度に水を入れ,割り下を入れて味を付ける.
  4. ところどころでたまにプクッと沸く程度になってきたら,その沸き具合を維持するよう火をこまめに調節する.
  5. ジャガイモが食べ頃に煮えてきたら,マロニーを入れる.
  6. さらに,牛肉を広げるように入れて,割り下を振りかけて肉に味を付けてやる.
  7. 肉の色が変わってきたら裏返してやり,少し煮て出来上がり.

「塩は0.8%」とするのが難しいので味見しながらになるが,汁を舐めて気持ち薄味に感じるぐらいが良いと思う.

マロニーのかわりに,しらたきやくず切りでも良い.入れなくても良い.要は好き好きだけど,マロニーは煮崩れにくいし,肉じゃがに合うと思う.

味は,これまた気持ちの問題のような気もするが,ジャガイモが煮崩れにくく,かつほっこりとしている気がする.ニンジンは,ニンジンらしい味が強まる.玉ねぎも解けずに透き通って,柔らかくなって美味しい.肉を最後に入れてすぐに仕上げることで,固くならず,また肉本来の味がして良い.

例によって時間はかかる.大きな鍋で作る時は,最初の弱火が弱すぎると,なかなかプクッとし始めない.水からなので,気持ち大胆に火を入れても,「細胞壁のペクチンが温存」されつつ,「野菜の甘みは7~10分ぐらいかけてじわじわ出てくる」ようになる.

2016年11月12日土曜日

『ヒューマン・ファクター』

主人公のカースルはイギリスMI6に勤めるスパイで,赴任していた南アフリカ共和国から黒人の妻サラとその息子サムを伴って帰国していた.情報漏れがあって,同僚のデイヴィスが二重スパイとして処分されたが,実は...というお話.読んだのは宇野利泰訳のグレアム・グリーン全集第25巻.

良いところ:
  1. 雰囲気
  2. 母親の描写
残念:
  1. (残念とまではいかないが) 色々なことが,最後までは書かれない
  2. (同じく) 南アフリカでのことがスリリングそうなのだが,あまり書かれていない

映画のジェームス・ボンドのようなスパイらしい(?)活動は出てこない.二重スパイの重苦しさが特に何でというわけではないのだが,伝わってくる.サラとサムがどうなったのかとか,シンシアがどうなったのか,とか気になる.

残念は,例によって無理矢理.書いてしまうと,おそらく雰囲気が台無しになる.

1983/4/15
グレアム・グリーン (宇野利泰訳)

2016年10月29日土曜日

低温すき焼き

鍋料理は,『強火をやめると』本では取り上げられていない.かなり涼しくなってきたので,鍋シーズンの始まりということで,とりあえず低温ですき焼きを作ってみた.

材料
すき焼き用の肉,白菜,ネギ,もやし,焼き豆腐,エノキ等

調味料・香辛料
醤油,酒,砂糖,液体出汁

生卵

作り方
  1. 食べやすさを考えて,大体同じ大きさになるように,白菜,ネギ,焼き豆腐を切る
  2. 醤油,酒,液体出汁,砂糖で割り下を作る.目安は重さで1:1:1:0.5ぐらい
  3. 冷えたままのすき焼き鍋に割り下を入れ,肉以外の具を入れて,弱火で温める
  4. ところどころでたまにプクッと沸く程度になってきたら,その沸き具合を維持するよう火をこまめに調節する
  5. 食べる分だけ,肉を入れて広げ,ゆっくりと煮る.表の色が変わりだしたら,裏返して少し煮ていただく
  6. 味が薄まってきたら,適宜割り下を足す

本には「塩は適当とか少々とかはありません」と書かれているが,すき焼きの場合,「塩は0.8%」というのがよくわからないので気にしないことにした.

味は,気持ちの問題のような気もするが,ガーっと炊くより肉が柔らかいし,白菜もネギももやしも元気(?)な気がする.割り下もくどくならないし減らないし,焦げたりもしないし,ゆっくりいただける.ただし,時間はかかる.

2016年10月23日日曜日

野菜炒め

『強火をやめると』本で紹介されていたやり方で,野菜炒めを作ってみた.P.65に「もやし炒め」の作り方が書かれている.これをもとに,豚バラと野菜で作ってみた.

材料
キャベツ,もやし,ニンジン,ピーマン,玉ねぎ,豚バラ肉 (全部で800g程度で2人前程度)

調味料・香辛料
塩 6.4g (800g × 0.8)
胡椒 少々
サラダ油 少々

作り方
  1. 食べやすさを考えて,大体同じ大きさになるように,キャベツ,ニンジン,ピーマン,玉ねぎ,豚バラ肉を切る
  2. 冷えたフライパンに豚バラ肉を敷く
  3. その上に,切った野菜を盛る
  4. 弱火で加熱する.温まってきた時に,弱くシューっと音がする程度の火力で
  5. 本に書かれているとおりに,水分が出てくるので,キッチンペーパでふき取る
  6. 2分に一回,上下が入れ替わるように混ぜる
  7. 10分程度炒めて,豚バラ肉に火が通っていることを確かめて,塩と胡椒を振ってよく混ぜて出来上がり

食べてビックリ,確かにシャキっとしていて,しかも美味しい.美味しいのは,作った本人だからそう感じるのかも知れないが.塩加減も一切味見しなかったが,丁度良い感じ.これは驚いた.

本に書かれているとおり,水分もほとんど出てこない.不思議である.

この調理法の素晴らしいところは,慌てなくて良くて,他のおかずを作りながらできるところ.みそ汁を作りながら,野菜炒めができてしまう.実に素晴らしい.今度はハンバーグをやってみよう.


2016年10月9日日曜日

『美味しさの常識を疑え! 強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!』

読んだのは,単行本版.

「常識を疑え!」というとおり,「強火で焼いてもうまみはとじ込められない」とか,「野菜は弱火で炒めると水っぽくなる(というのは間違い」とか,数多の料理本・レシピで頻繁に言われることをひっくり返す本.「そこ(料理)には,“適当な”感覚の世界ではなく,“厳密な”科学的な世界があります」という主張に貫かれている.

概略は,以下のとおり.
三つのルール
  1. 火加減
  2. 塩加減
  3. 切り方
火加減
低温加熱ではなく低速加熱

80%ルール ― 焼く前の重量の80%~85%で焼き上がり

焼き始めの肉から出てくる水分は,アクなのでふき取る

塩のルール
適切な塩の量は,素材全部を合わせた重量の0.8%

切り方のルール
まっすぐな包丁でまっすぐに切る
正しいフォーム,包丁の持ち方で切る
良いところ:

  1. 提示されるルールが簡潔でわかり易い
  2. 野菜炒めとか,作ってみたくなる
  3. 切り方のフォームは,写真付きでわかりやすい
残念:
  1. (著者がフランス料理出身のため(?)) 日本料理,中華料理等については具体的な記載はない (野菜炒めは出てくる)
  2. 文字大き目・行間広めで読みやすいが,記述量は少なめに感じられる
  3. イラストが,かわいくない
残念は,やや無理矢理.著者の主張に沿った魚の焼き方とか,卵焼きの作り方とかを知りたくなった.

とにかく,今度,野菜炒めを作ってみよう.


美味しさの常識を疑え! 強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!
2010/2/25
水島 弘史


『名もなき毒』

杉村三郎シリーズの二作目.トラブルメーカーのアルバイト女性に対処しているうちに,無差別毒殺事件で殺された遺族と知り合い,...というお話.読んだのは,単行本版.

良いところ:
  1. 登場人物のきめ細かい描写
  2. 主人公の杉村三郎が抱える場違い感とか,空虚さが伝わってくるところ
  3. 退屈させない.読み進められるところ
残念:
  1. 少し慌ただし過ぎると感じるところ
  2. 原田いずみがああなった理由がはっきりとしないところ
  3. 装画 (杉田比呂美),装幀 (緒方修一)
原田いずみに関して色々語られるが,それっきりのところあり.そもそも原因がはっきりするようなことでもないとは思うが.装幀・装画は前作の方がずっと作品に合っている.

前作とは打って変わり,冒頭でいきなり老人が青酸カリ死したり,部下の女性アルバイト (前作から代わっている) が編集長と大喧嘩したりと,慌ただしい.終盤でもこのアルバイトは大暴れで,楽しんで読めたが,寝る前の読書には(続きを読み進めたくなるという意味で)前作の方が向いている.


名もなき毒
2006/8/25
宮部みゆき